欠如
昨今の自粛の波をくらっている。
くらっている、という言い方は品がないかもしれないけれど、くらっているという表現が肉体にダメージがある様で、今の気持ちをよく表していると思う。
趣味娯楽が淘汰され、憤りを感じている間に(中止の要請を受けているのにそのになにも補償がないことに憤っていた)、あれよあれよと日常も失われつつある。
そこで、この機会に小学生の頃読んでいた児童書を読み返そうと、何冊か実家から持ってきたのだが、字面を追うのが億劫であることに気づく。
高校までは図書室が充実しており、なかなかの読書家だった。
大学生以降は視覚や聴覚に頼って得る娯楽がメインになってしまい、自分で字面を追う読書から離れていた。
今、読んでいるのは『はてしない物語』。
異国で作られた、想像上の物語。主人公の男の子が本を読み進める中で展開されていくメタフィクションである。
カタカナや情景が浮かび上がり、章の終わりに記される「それはまた別のお話」という一説にまで想像を膨らませることができた小学生時代。
今のわたしには想像力が足りない。
粛々と、戒めて、エネルギーにしよう。
また自由に動き回れる時がきたら、この経験を生かして豊かに生きていける様に。
いつにも増して感傷的になってしまう夜更のわたしより。